小林メディカルホームページTOP
「電気メスを安全にご使用頂くために」TOP
Webセミナー「電気メス安全セミナー(ダイジェスト版)」
電気メスQ&A

「より安全にお使いいただくために」

監修  神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部
教授  小野 哲章先生
名城大学大学院 都市情報学研究科 保健医療情報学
教授  酒井 順哉先生


弊社で作成している冊子「電気メスQ&A」の中から、よくご質問を頂く項目を抜粋してお届けします。

小林製薬株式会社 小林メディカルカンパニー

右の配布用冊子をご希望の際には、弊社担当者または弊社営業所(弊社ホームページTOPのお問合せ先に掲載)までご連絡をお願い致します。

Q.の番号は冊子の番号をそのまま使用しています。
Q2 電気メスは広く使用されていますがどんな理由からですか?
Q5 モノポーラとバイポーラはどこが違うのですか?
Q8 スプレー凝固と一般凝固はどこが違うのですか?
Q14 対極板はどの様なところに装着するのがよいですか?
Q17 小児用の対極板をなぜ大人に使用してはいけないのですか?
Q36 電気メスの2台同時使用について教えて下さい。
Q37 手術用のゴム手袋に穴があき熱傷する場合があるのはなぜですか?
Q38 電気メスを使用するとなぜ心電図モニタが乱れるのですか?
Q40 ペースメーカーを埋め込んでいる患者に電気メスを使用しても良いのでしょうか?
Q42 鉗子にスパークさせて止血するとビリッとくる場合があるのはなぜですか?
Q74 電気メスによる引火・爆発事故の危険性があると聞きますが、どのようなものがあるのですか?
Q79  ニトログリセリン貼付剤(ニトロダームTTS)の裏がアルミになっていますが、貼ったまま電気メスを使用しても良いのでしょうか?

▲ページTOP


Q2   電気メスは広く使用されていますがどんな理由からですか?
 電気メスがこの様に広く使われる様になったのは、以下の様なことが電気メスで可能だったからです。

@生体組織の出血を抑えつつ切開すること
ができる。
A出血や生体の組織を凝固することができ
る。
B切開と凝固がスイッチーつで切り替えられ
る。

C生体組織の壊死層が比較的薄く、治癒性が高い。
D比較的熟練を要さずに取り扱うことができ、かつ特別の設備も必要としない。
E装置の構造が単純で廉価である。

▲ページTOP


Q5   モノポーラとバイポーラはどこが違うのですか?
 モノポーラ、バイポーラを日本語に直すとそれぞれ単極と双極になります。

 この極というのは、電池のプラス極やマイナス極と同じ意味なのですが、電流は必ずプラスの極からマイナスの極へという様に二つの極がないと流れないのです。従って、モノポーラもバイポーラも結局は二つの極があります。モノポーラ(単極)の場合は、アクティブ電極(メス先電極)が一つの電極で、対極板がもう一つの電極であり、この場合アクティブ電極(メス先電極)だけで電気メス作用が起こるのでモノポーラと言うのです。モノポーラの場合にはアクティブ電極(メス先電極)から電流が流れ込んで対極板から流れ去り、本体に帰ります。本体からみますとアクティブ電極は一方の極であるし、対極板ももうひとつの極です。そして、それがひとつのループを作っています。すなわち、閉回路を描いていて電流が流れるわけです。しかし、モノポーラの場合にはメス先電極(アクティブ電極)の方だけで作用が起きるのです。

 一方バイポーラというのは、アクティブ電極と対極板が一ケ所に集まっているものと考えれば良いでしょう。普通はピンセットの形をしていますが、ピンセットの一極がアクティブ電極でありもう一極が対極板になっています。しかも両方とも同じ面積ですから、どちらが対極板でどちらがアクティブ電極と言うことはできません。どちらも実はアクティブ電極(メス先電極)の作用をしますし、また対極板の作用をします。一方のピンセットの先から電流は流れ込んでその先にある肉片などを凝固させて、もう一方の電極から帰って行きます。もう一方の電極も、実は接触面積は小さいわけですからそこでもやはり凝固作用が起きます。すなわちピンセットで摘んだ領域全体が凝固作用を受けるわけです。

 なお、バイポーラでは現在のところ切開の出来るものはありません。すべて凝固に使われるわけです。この様にバイポーラでは二つの電極が両方ともアクティブ電極として作用するのでバイポーラ(双極)と言われるのです。モノポーラとバイポーラはこの様にアクティブ電極として作用する電極がいくつあるかということで区別されているわけです。
なお、バイポーラは原理的に高周波非接地形でなければなりません。接地形のバイポーラというものがあったとしてもバイポーラとしての機能を果たさないでしょう。

▲ページTOP


Q8   スプレー凝固と一般凝固はどこが違うのですか?
 スプレー凝固というのは比較的長い火花が飛ぶので、アクディブ電極が組織に接触していなくても凝固できるというものです。しかも、その火花がスプレー状に広がるので広い部位を一度に止血できるものです。一般の凝固というものはある1箇所を凝固するものだと思えば良いでしょう。

 どうしてその様なことができるかというとスプレー凝固の場合には比較的高い電圧を一気にかけます。高い電圧をアクティブ電極にかけると、遠くまで火花を飛ばすことが出来るわけです。即ちエネルギの大きな雷は比較的遠くまで稲妻を飛ばすことが出来るという事になるわけです。一回に飛ぶ稲妻というのは一つなのです。ところが一回ある所に火花(アーク)が飛ぶとそこは凝固されてしまいますから、今度は次に飛びやすい所へ飛びます。そこが凝固されるとまた次に飛びます。この様にしてアクティブ電極の延長上の点を中心にある限られた半径全体に渡って次々に飛んでいきます。一つの火花が飛ぶのに要する時間というのは非常に短い時間なので、我々が見ていると全部同時に飛んでいるように見えるわけです。そういう事によって実質性臓器などからの出血を瞬時に止めることができ、いわば、レーザーメスのアウトオブフォーカスのような形で、ある領域を一度に止めるのと同じ様な効果を電気メスに持たせたものです。

 一般の凝固というのはスプレー凝固と比べると比較的低い電圧で凝固の出力を出しますので火花が飛んでいく領域がひどく限られる、いわば目的とした一点が凝固できるわけです。ですから、ある一点だけを凝固するときには一般的な凝固(ピンボイント凝固)を、ジワジワと出てくるようなところを一度に凝固する場合にはスプレー凝固を使えば良いことになります。その選択は術者が、その時々に合わせて行えば良いわけです。

▲ページTOP


Q14  対極板はどの様なところに装着するのがよいですか?
 対極板の望ましい装着部位は直視下で観察でき、充分な装着面積の確保できる、また、血行の良い筋肉がたくさんある部位、傷跡などがない正常な皮膚面、なるべく毛のない所がよいでしょう。普通は、大腿、下腿、でん部、背部、上腕部などが用いられます。特に骨の突き出た部分、肩甲骨の部位であるとか背骨部や傷跡が瘢痕化した部位、血行が悪いあるいは術中に悪くなると思われる部位は避けたほうが良いでしょう。何処に貼るということは一概に言えないのですが上記のような所にすべきでしょう。尚、子供や、女性で腕の細い人などの場合には上腕部は避けた方が良いでしょう。なぜなら、腕の中身は殆ど骨ですので、大きな面積があるように見えても、中を流れている電流は骨と外側の皮膚の間の小さな肉の部分を流れて行くことになりますから、小さな対極板を貼ったのと同じ事になってしまいます。その為発熱が起こる危険性があります。

▲ページTOP


Q17  小児用の対極板をなぜ大人に使用してはいけないのですか?
 この質問に答える前に、対極板の役目について考えてみると、対極板は電流を分散して回収するための物です。アクティブ電極で電気メス作用が起きるのは、アクティブ電極から電流が流れ込んでその周りの細胞を飛ばしたり凝固させたりするわけですが、大人でも子供でも一度に飛んでしまう細胞や凝固される面積というのは、さほど変わらないわけです。大人だから綱胞が大きいなどということはないわけです。同じだけの部位を切るのに必要な電流(エネルギ)というのは大人でも子供でも同じわけです。ですから同じ電流が必要とされるのです。従って、基本的に同じ電流を使うならば、その電流を回収するためには同じだけの対極板の面積が必要になってくるわけです。

 子供の場合には同じ面積の対極板を貼れないとか貼る部位がないとか、あるいは、はみ出てしまうというような状況があるので小児に適したような比較的小型の対極板が市販されています。これを小児用の対極板と呼んでいるわけです。本来は小児用の対極板というのはあり得ないのですが、今述べた様な理由で小児用の対極板というものもある程度認められてきたようです。しかし、小児用の対極板はそれだけ安全度が低いということになるのです。

 対極板というものは一般に安全係数を5倍とか10倍、すなわち、面積が5分の1とか10分の1とかになってもよいように初めから設計されています。しかし、小児用の対極板の場合には安全係数が5であるとか3であるとか比較的小さいわけです。ですから小児用の対極板を使うということは安全性が低いと言わざるをえないのです。

 では、対極板の面積というのは何を基準に決めるべきかというと、流し込む電流の大きさによって決める必要があるのです。その意味からいいますと、小児用の対極板の場合には流し込む電流を小さくしておかなければならないことになります。すなわち、大人用の対極板で400ワットまで使用できるとすれば、小児用では200ワット位の出力で我慢するという様な姿勢でやるならば同じ安全係数で使用できます。つまり、小児用の対極板を使うと安全度は低くなるので安全に使おうとするならば出力を200ワット以下に抑えて電気メスを使いなさいということです。ですから、小児用の対極板を大人に使うのであれば、同じ考え方でやっていただきたい。つまり100ワット位で我慢して使うということになります。なお、小児用対極板でもかなり小さいものがありますが、例えば、40平方センチ程度の場台は100ないし150ワット以下で使わないと危険でしょう。

▲ページTOP


Q36  電気メスの2台同時使用について教えて下さい。
 例えば、ACバイパスの手術などで、一方の術者は心臓の手術をしながら他方の術者は大腿から静脈を取ってくるという様に、手術を平行して行いたいという要求が出てきています。これは手術速度を早めるためです。この為、2台、場合によってはそれ以上使うようなことが起こり得ます。この様にすることを電気メスの2台同時使用と言います。

 これには、大きく分けて二つの問題があります。一つは2枚の対極板を貼る必要があるということです。1枚の対極板を貼るにもいろいろな配慮が必要ですが、2枚となると更に大変になるということです。もう一つは、まだよく解っていない現象ですが、片方のアクティブ電極から流れ込んだ電流が、もう一方のアクティブ電極の方へ逆に流れ込んでしまい意図しない現象が生じてしまうことです。

 例えば、電気メス(A)の方では切開を使っていたとすると、切開電流が電気メス(B)の方に流れ込んで、本来凝固を意図した電気メス(B)の方で切開作用が起こる可能性があります。これは危険ですね。そのほか、両方の電気メスの電流が一方の対極板に同時に流れ込むようなことも考えられます。そうしますと、意図した電流の2倍近い電流が1枚の対極板に流れ込み、熱傷の危険が増えることになります。

 この様な相互作用が起きる可能性がありますので2台の電気メス使用は避けた方が良いといわれています。どうしても2台の電気メスを使用する場合には以下の点に注意すべきでしょう。

@2台の電気メスは相互作用の起こりにくい高周波非接地形のものを使う

A必要最小限の出力で使う

B長時間の2台使用は避ける

C対極板は正規のものをそれぞ札の術野の近くに、かつ、それぞれを出来るだけ離して装着する

D使用部位はできるだけ離れていること

Eできるだけ、両方のアクティブ電極が同時に患者の体に接触しないよう様に術者が気を配る

F両者が違うモード(一方が切開、他方が凝固)を同時に使うという様な使い方は避ける(一度は電気メスの専門家に使用状況を見てもらって適切なアドバイスを受ける)。

 

▲ページTOP


Q37  手術用のゴム手袋に穴があき熱傷する場合があるのはなぜですか?
 手術用のゴム手袋というのは非常に薄いものです。しかも、術者は地上に立っていますし手術台に近いわけで、術者はアースされているとみて良いでしょう。そうしますと、たとえ高周波非接地形電気メスを使っていても、若干の高周波漏れ電流は起こり得ます。しかも使っている電圧が高ければ高いほどその高周波漏れ電流は大きくなります。スプレー凝固のような非常に高い電圧を使う場合には、放電が飛ぶわけですが、一部は漏れているわけです。手袋は絶縁物であると思われているようですが、高周波にとっては薄いものは絶縁物とはいえない場合があります。

 薄いものでは通り抜けてしまう可能性があります。手術用の手袋は非常に均一に作られているのですが、その装着方法や手を動かすことにより薄い部分が生じたとすると、そこが一番電流が通りやすいわけでそこに集中して放電する可能性があります。ということは、そこに電流が流れるということであり、その場合手袋のその部分は放電による破壊を起こしてしまいます。手袋には小さな穴が開くことになり、術者の手には火傷を起こす可能性があります。

 スプレー凝固を使う場合、この様な事が起こることは、防ぐことの出来ない問題です。なるべくなら、厚い手袋をすると良いと言うことはできますが、そうすると手術がやりにくくなる事もあってなかなかそうもいかないようです。ですから、防ぐための手段としては、スプレー凝固などを使うときは、なるべくその部分に手を近づけない様にするという位しか現在のところ有効な方法はないようです。

▲ページTOP


Q38  電気メスを使用するとなぜ心電図モニタが乱れるのですか?
 電気メスは、体に電流を流して作用を起こすものですから、当然かなり大きな電流が流れます。体に電流を流すためには、体にある程度の電圧を掛けてやらなければなりません。その電圧は、小さくても数十ボルト(V)、大きい場合には数百ボルトになります。一方、電気メスを使うような手術では心電図がモニタされていますが、ご存知のように心電図は、R波でもたかだか1ミリボルト(mV)位の大きさしかありません。1mVの信号を検出する心電計に数十ボルト、あるいは数百ボルトの電圧が加わったならどうでしょうか? 当然1mVの信号は消されてしまって見えなくなってしまうわけです。ただ、心電計とか心電図モニタというのは高い周波数の電流は入れないように回路を作ってあります。心電図をモニタするには高い周波数は不要です。心電図の場合には100ヘルツ(Hz)位、すなわち1秒間に100回位の変化に相当する速さの変化しか起こりませんが、電気メスでは数百キロヘルツ(kHz)から数メガヘルツ(MHz;kHzのさらに1,000倍)というずっと高い周波数ですので高い周波数を通さないようにしておけば良いわけなんです。しかし、心電図信号の数千倍、数万倍という大きな電圧に対しては完全にそれを打ち消すことはできず、わずかにその影響が出てきます。

 さて、電気メスによる心電図モニタのノイズをよく見てみますとモニタに入って来るのは例えば500kHzというような高い周波数ではありません。その様に高い周波数ですと、モニタ上では確認できません。よく見ますと100Hzとか120Hzとかという比較的低い周波数のノイズとして入ってきます。これは、ちょっと難しくなりますが、心電図モニタに入ってきた高周波から、心電図の入力のアンプ(増副器)で高い周波数の部分を取り去られた、元々電気メスの電流の中に入っていた低い周波数の成分なのです。電気メスは、100ボルトの交流を直流して電源として使っているのですが、この時、完全に直流に直し切れていないまま使っているのです。その完全に直しきれていない成分がわずかに残っていて、それが高周波の中に含まれている低い周波数の成分ということになるわけです。つまり高周波の中に含まれている100Hz、120Hzということなのですが、その低い周波数がモニタに影響するわけです。その為、一般には電気メスを使うとモニタの画面はハケではいたように乱れて見えなくなってしまいます。

 これに対して、電気メス対策をしたモニタというものも数種できております。これは、入ってくる高周波を入口で食い止める回路、それから、出て来てしまった低周波の成分をまたその後で切り捨ててしまう回路を持ったものです。これは電気メスの影響が少ない場合には非常に有効に働くようですが、大きな電気メス雑音に対してはまだ完全に除去できるというところまではいっていないようです。

 なお、アクティブ電極は体に付けたり離したりというように使うことが多いのですが、この為に体の電圧が急に変わったり急にゼロになったりする事があります。そういう時には、基線が勢い良く上に飛んだり下に飛んだりという様なノイズになります。これを除去するのはなかなか難しい問題です。

▲ページTOP


Q40  ペースメーカーを埋め込んでいる患者に電気メスを使用しても良いのでしょうか?
 これも答えるのが難しい問題です。というのは、ペースメーカは電気メスの影響を受けるし、かといって電気メスは是非とも使いたいという事情もわかるからです。では、ペースメーカ植込患者に電気メスを使用するとどんな影響が起こるかについて述べてみましょう。

 最近の植込ペースメーカはほとんどがデイマンド型ペースメーカです。この型のペースメーカは自発心電図とペーシングパルスとの競合を避けるため自発心電図が出るとパルスを出すのを休んでしまう形式のものです。この機能に対してどうも電気メスはいたずらをしてしまうようです。モデル水槽を使って行ったモデル実験では以下のような影響が出ることが解りました。
 @高周波でもペースメーカの中に入って行くとディマンド機構が動きパルスが停止することがある。
 Aバイポーラで使用した場合影響は起こりにくかった。
 Bモノポーラでは、通常の出力でも影響を受けてしまう可能性がある。つまりディマンド機構が動きパルスが停止してしまうことがある。
 C切開の場合より凝固出力の方が影響しやすい。
 Dアクティブ電極をジッジッジッと断続的に患者に接触させたときの影響はもっと大きい。

 以上の事を考慮にいれて実際に使用する場合の注意事項を列挙してみましょう。

 @電気メスを使用する時は、心電図モニタ以外のものでモニタし、心拍異常の早期発見に努める。
 A対極板はなるべくペースメーカから離れた位置に装着し、アクティブ電極は植込部の近く(10cm以内)で使用しないようにする。
 B電気メスの出力は必要最小限にとどめる。
 C電気メスの使用を10秒以上続けない。

 また、ペースメーカの植込部の直上に強力な磁石(付属品)を乗せて、ペースメーカを固定レート状態にして使用する方法もあります。こうしておくと電気メスの影響を受けなくなります。しかし、固定レートでは、期外収縮などの自発心電図の発生に充分注意する必要があります。この様な場合は、心室細動を誘発する可能性があるからです。

▲ページTOP


Q42  鉗子にスパークさせて止血するとビリッとくる場合があるのはなぜですか?
 鉗子で止血部位を摘んで、その鉗子に凝固電流を出力するというやり方はよく行われます。この時に鉗子を持っている術者なり助手がアクティブ電極を鉗子に付けるときにビリッと感じて思わず手を離すという様なことはよく聞きます。これはどういう原因で起こるかというと高周波電流が鉗子を通してゴム手袋の薄い部分を通って流れてしまったことによるものでしょう。しかし電気メスの場合、高周波電流を使っているので人間は感じないはずです。では、何故ビリッっと感じるのかといいますと、金属と金属の間でスパークが飛ぶときにいわゆる整流作用というものが起こり直流が発生してしまう為なのです。整流というのは交流を直流に変えることを言います。電気メスの出力は交流ですが、火花の持つ整流作用の為に電気メス電流の一部が直流に変わってしまいます。直流、つまり低い周波数ですから我々がビリビリ感じる可能性が出てくるわけです。この様なわけで鉗子に出力するとビリビリ感じることがあるのです。

 これを防ぐにはどうしたら良いのかというと大きく分けて二つ考えられます。一つは、スパークさせないで接触させるということです。即ち、アクティブ電極を鉗子に付けた後でスイッチを押して出力させると良いでしょう。もう一つは、鉗子の握り方によるものです。ビリビリくるということで、鉗子を軽く握っているようですが、この場合はむしろ逆にしっかりと握った方がビリビリこなくなるでしょう。何故かというと、軽く握った場合には、接触面積が小さくなり電流が一点に集中しますのでビリビリ感じる度合が強くなるわけです。逆にぎゅっと強く握ってやると接触面積は大きくなり、電流は分散されることになります。従って、ビリビリ感じる度合も小さくなるわけです。

▲ページTOP


Q74  電気メスによる引火・爆発事故の危険性があると聞きますが、どのようなものがあるのですか?
 可燃性のガスや液体のある環境下において、電気メスを使用することは原則として禁止されています。もし、このような環境下で使用する場合は引火・爆発防止に注意する必要があります。特に皮膚消毒にエタノール製剤などの可燃性消毒液を使用した場合、十分乾燥したことを確認した上で電気メスを使用しないと引火の危険があります。また引火した場合の炎は青白く見えないことがあるので、注意が必要です。

▲ページTOP


Q79  ニトログリセリン貼付剤(ニトロダームTTS)の裏がアルミになっていますが、貼ったまま電気メスを使用しても良いのでしょうか?
 狭心症の予防を目的に製造された経皮吸収ニトログリセリン製剤は、手術中に貼ることは望ましいことではありません。しかし、狭心症の発作があることは、術前から主治医や麻酔医が十分把握しておく必要があると思います。なお、貼っていることを知らずに使用した場合に考えられる問題として、製剤支持体のアルミニウム箔が破裂することや温度上昇することで熱傷の危険性が発生すると考えられます。このことは、製剤の取扱説明書に貼付されていますので、十分把握しておきましょう。

▲ページTOP